<足利事件>菅家さんの公民権が回復 選挙権も復活へ(毎日新聞)

 足利事件で再審無罪が確定した菅家利和さん(63)について、宇都宮地検が無罪を証明する再審結果通知書を菅家さんの本籍地である栃木県足利市に送付し、3月30日付で受理された。これにより、市が管理する「犯罪人名簿」から名前が削除され、14日開かれる市選挙管理委員会を経て、菅家さんの選挙権が復活する。

 菅家さんは09年6月に釈放されたが、再審公判中は無期懲役刑の執行を停止されている状態だった。このため、公職選挙法の規定により同8月の衆院選では選挙権が認められなかった。

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ペンに託す定年後の人生 企業OB70人 作品を発表・批評(産経新聞)

 「肩車していた孫に手を引かれ」。老年世代を迎え、定年後をどう過ごすか悩んでいる人たちは少なくない。現役時代同様にパワフルに第二の人生を歩む人、仕事を辞めた喪失感に苦しむ人などさまざまだが、エリートと呼ばれたサラリーマンほど定年後のアイデンティティー確立に悩むという。そんなかつての企業戦士たちが文書を書くという共通項で「企業OBペンクラブ」に集い、互いの作品を批評し合いながらかくしゃくとした人生を送っている。(太田浩信)

 ◆団塊世代は若造

 クラブは平成元年に設立。高度成長期を支えたサラリーマンたちが定年後、「書く」ことを新たな生きる支えとして作品を発表・批評し合う場として活動を続けてきた。会員は約70人。50代から90代までと幅広く、団塊世代はまだまだ若造だ。

 活動は個性豊かな講師を招いて講演を行う月例会と7つの分科会が中心。分科会は、800字以内のジャンルを問わない文章で表現力を磨く「何でも書こう会」や原稿用紙30枚以内の短い小説を批評し合う「掌編小説勉強会」など、川柳、俳句、英語解読といった7つがあり、それぞれ月1回ほど開いている。どの分科会に顔を出すのも自由で、3つ、4つと渡り歩く猛者もいる。

 「現役時代に海外生活が長く、いろんな国の文化を知っている洒脱(しゃだつ)な人が多いですね」と西川武彦会長(73)。自身も日本航空OBで、豊富な海外経験をもとに数多くの作品を精力的に執筆する。「会員何かものを書いて世の中に伝えようという気持ちがある。それと、好きなことを言える仲間作りが楽しいんでしょう」と笑う。

 ◆掌編小説勉強会

 東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで3月23日に開かれた掌編小説勉強会。男女9人が出席し、あらかじめ電子メールで送付した6編の小説を批評し合った。

 その一つ、筆者の実体験をもとに描き、途上国からの研修生を招いた行政セミナーを舞台とした作品。「小説風ドキュメンタリーであり、小説としてはおもしろくなかった」「小説なら作家の目でもっと踏み込んで書けるはず」と厳しい指摘が続いた。

 小京都シリーズと銘打つ作品群を発表する会員は今回、地方都市の城天守閣復元事業に寄せられた匿名の大口募金を題材に執筆。出席者からは「秀逸」との声とともに、「舞台とした街の情景が描かれていない」「結末がきれいごと過ぎる」と辛辣(しんらつ)な批評も飛び交う。

 全員が真剣に意見を出し合うだけに、「本当に時々ですが、けんかをしたりします。かなり個性が強い人もいるから。でもあとに残すことはない」と西川会長は話す。平尾富男事務局長(68)は「最近は出版不況で思うように出せないのが寂しいです」とこぼすが、これまでに会の名前で出した本はちょうど20冊。冒頭の川柳は、その記念となる昨年12月出版の『卒サラ川柳 卒サラも遠くなりにけり』に掲載された作品だ。

                   ◇

 ■女性にも門戸開放

 企業OBペンクラブの会員はほとんどが首都圏在住だが、大阪や名古屋、米国ニューヨーク在住の会員もいる。インターネットを通じての作品の応募、批評、連絡など活発に活動。作家の深田祐介さんは名誉会長で、昨年11月になくなった元松竹社長の奥山融さんも会員だった。

 年会費は1万5千円。女性にも2年前から“門戸開放”し、現在は主婦ら7人の女性会員がいる。会員の募集のほか、月例会や分科会の見学も受け付けており、問い合わせは、平尾事務局長(hirao3321@t04.itscom.net)。

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 厚生労働省は3月26日、今年2月に実施した看護師、保健師、助産師の各国家試験の合格発表を行った。

 第99回看護師国家試験は2月21日に実施された。受験者数は5万2883人で、昨年の5万906人から1977人増えた。合格者は4万7340人、合格率は89.5%。昨年の89.9%から0.4ポイント減少した。
 このうち新卒の受験者数は4万7944人、合格者は4万5040人。合格率は93.9%だった。
 合格基準は、必修問題、一般問題を1問1点、状況設定問題を1問2点とし、必修問題50点満点中40点以上、一般問題と状況設定問題を合わせて250点満点中151点以上。

 第96回保健師国家試験は2月19日に実施され、1万3048人が受験した。合格者は1万1295人、合格率は86.6%。受験者数は昨年から999人増加したが、合格率は11.1ポイント減少した。
 合格基準は、一般問題を1問1点(74点満点)、状況設定問題を1問2点(60点満点)とし、134点満点中81点以上。

 第93回助産師国家試験は2月18日に実施された。1901人が受験して1579人が合格。合格率は83.1%で、昨年の99.9%から16.8ポイント減と大幅にダウンした。合格基準は保健師国家試験と同じ。


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ダム工事 「小沢氏に業者逐一確認」高橋元秘書が初証言(毎日新聞)

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件に絡み、小沢氏の秘書を務めた高橋嘉信元衆院議員(56)が24日、毎日新聞の取材に、小沢氏本人が公共工事で「天の声」を出していたと初めて証言した。岩手県発注の鷹生(たこう)ダム(大船渡市)工事を巡り、談合の本命業者に関する小沢氏の指示を業者側に伝えたという。

 高橋氏の説明によると、98年ごろに小沢氏から「世話になっているので鷹生ダムは清水にしろ。仙台に言っておけ」と指示されたという。高橋氏は直後、談合の仕切り役だった鹿島東北支店(仙台市)の当時の幹部に電話し、「小沢からです」と前置きして「鷹生ダムは清水だそうです」と伝えたという。

 鷹生ダムは98年5月に本体工事の一般競争入札が行われ、清水建設、熊谷組などのJV(共同企業体)が落札。受注側が謝礼として小沢氏のパーティー券を年約2000万円ずつ数年間購入したことが判明している。

 高橋氏は「どの業者に公共工事を受注させるかの判断を当初は小沢氏本人に逐一確認していた」とも述べた。

 高橋氏は80〜00年に小沢氏の秘書を務め「金庫番」と呼ばれた。00年衆院選で旧自由党から比例代表東北ブロックで初当選。小沢氏と決別し09年衆院選では小沢氏の選挙区の岩手4区に自民党から出馬し落選している。証言について小沢氏事務所は「担当者と連絡がつかないのでコメントできない」、清水建設と鹿島は「確認できない」としている。【政治資金問題取材班】

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懲りない北教組 早くも参院選準備へ教員出動(産経新聞)

 北海道教職員組合(北教組)側が民主党の小林千代美衆院議員(41)=北海道5区=の陣営に1600万円を不正提供したとして北教組委員長代理、長田秀樹被告(50)ら2人が22日、起訴された不正資金提供事件。事件を機に、教員や組合の政治活動が問題になったが、当の北海道ではすでに今夏の参院選に向け、教員らが動き出している。

  [フォト]小林議員会見の一問一答 「ご支援には心から感謝」

 ▼臨戦態勢

 今回起訴された長田被告と小林氏陣営の会計担当、木村美智留被告(46)の2人を含む4人が逮捕された翌日の今月2日。北海道日高地区の小学校で各学校の組合教員の長「分会長」を集めた「分会長会議」が開催された。

 会議で配られた文書のタイトルは「参議院議員選挙闘争のとりくみについて」。今夏の参院選に向けて運動の経過や情勢を記したものだった。

 文書では参院選を「『民主教育確立』や労働者・市民の声を反映できる政権を継続していくために重要なたたかい」と位置づけ、具体的な候補者名も挙げている。

 北教組に詳しい関係者は文書を見て、「懲りていない」と嘆息した。

 ▼組織力強固

 北教組は日本教職員組合(日教組)の中でも強固な組織力で知られる。

 選挙があれば、支持する候補者の事務所開きや後援会総会にまで教員を動員。「A小、B小で各1人」など学校名、動員数まで指定し、活動は昼夜を問わない。冒頭の分会長会議は平日の午後早くで、会議自体が勤務時間中の職務専念義務を定めた地方公務員法などに抵触する恐れがある。

 日教組の中村譲委員長は15日、都内で開かれた臨時大会で今回の事件について「強制捜査を受けたのは大変残念だ」としながらも「候補者を支援し、組合員に周知することは正当な組合活動だ」と弁護した。

 ▼焦りの声も

 北教組の選挙活動は今後も続きそうだが、小林陣営をめぐっては、昨年10月にも陣営幹部が公選法違反容疑で逮捕され、道内の複数の民主陣営に労組の裏金が使われていたことが裁判や捜査で明らかにされた。党関係者からは今回の事件を受け、「教組や労組頼みの選挙はもうできない」と焦りの声も聞かれる。

 民主党のある国会議員秘書は「今回の事件で、末端の組合員は萎縮(いしゅく)してしまった。今後の選挙に協力してくれないのでは」と懸念を示した。

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「健康づくり提唱のつどい」4月に開催−日本栄養士会(医療介護CBニュース)

 日本栄養士会は4月7日、東京都港区のヤクルトホールで、食や健康づくりに興味がある人を対象にした「第31回健康づくり提唱のつどい『食べることは生きること-生涯食べる機能を維持して、健康であるために-』」を開催する。

 同会では、世界保健デーである4月7日に合わせて、1980年から「健康づくり提唱のつどい」を開催している。
 日本歯科医師会の池主憲夫常務理事と、日本栄養士会の押野榮司専務理事が座長を務めるシンポジウムでは、大分医科大名誉教授の坂田利家氏が「生活習慣病を克服しよう-脳機能からみた咀嚼法のすすめ-」のテーマで講演するほか、昭和大歯学部教授の向井美惠氏は「ライフステージごとの食べ方-噛ミング30のすすめ-」、地域栄養ケアPEACH厚木代表の江頭文江氏は「おいしく食べるための3原則-食を通したアプローチ-」と題して講演する。


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【歴史に消えた参謀】吉田茂と辰巳栄一(1)われは秘密軍事顧問なり(産経新聞)

 戦後日本の礎を築いた宰相、吉田茂は軍人嫌いで有名だった。その吉田が、ただ一人、心を許した陸軍軍人に辰巳栄一中将がいた。吉田が重用した白洲次郎が「経済の密使」なら、辰巳は首相の「影の参謀」であった。再軍備を拒んできた吉田に、最後は「深く反省している」といわせた辰巳とはどんな人物だったのか。日米安全保障条約の改定50周年を迎えたいま、日本自立に向けて彼らがいかに苦闘して挫折したか、その謎に迫る。

 神奈川県大磯町の吉田茂邸は、旧東海道の松並木が途切れるその先にあった。秋の深まりとともに相模湾から吹きつける海風が冷たい。

 一目でロンドン仕込みとわかる老紳士が吉田邸の門をくぐった。三つぞろいの背広に帽子を目深にかぶり、背筋がピンと伸びていた。檜皮葺(ひわだぶき)のその門は、吉田が首相として成し遂げたサンフランシスコ講和条約を記念して造られ、別名を「講和門」という。

 辰巳栄一の大磯訪問は、吉田が政界を退いて久しい昭和39(1964)年秋のことである。吉田の書斎は、京都の宮大工に造らせたという豪壮な数寄屋風建築の2階にあった。

 吉田が「大磯詣で」の政治家たちと会うときは、玄関右手の洋間を使った。だが、親しい人物が来訪した折だけは、眺めの良い2階の書斎に招いた。辰巳はいつものように、畳敷きのその小ぎれいな書斎にのぼった。

 10年前の29年暮れに吉田が首相を辞任すると、辰巳も政治向きの仕事一切から手を引いた。それ以前から、吉田から声がかかれば気軽に大磯を訪れた。

 ■「軽武装」翻させた建言

 辰巳の長男で、元商社マンの敏彦氏の記憶だと、世田谷区成城の自宅で「ちょっと出かけてくる」というときは決まって大磯へ向かった。辰巳は吉田が駐英大使の時代に陸軍駐在武官としてロンドンに赴任し、ともに日独防共協定の阻止に動いて挫折を味わった。

 辰巳には戦場での勇ましい逸話があるわけではない。30年にわたる軍歴のうち、10年は3回にわたる英国勤務であった。陸軍きっての国際通であり、英米を敵とすることに一貫して反対した。

 英米軍の極秘情報入手など情報部門で活躍し、総力戦研究所の創設を進言するなどの先見性があった。陸軍中央の意に反して三国同盟に反対し、ロンドンから「ドイツ勝てず、英国滅びず」と打電し続けた。

 帰国して東部軍参謀長になると、東条英機首相の反対をものともせず、学童疎開を実現したのも辰巳である。戦後に有為の人材を温存することができたその功績は、“百戦の勝利”よりも重い。

 戦後は軍人嫌いの吉田に請われて首相の秘密軍事顧問になった。吉田の片腕として自由に動いた白洲次郎と違って、辰巳は決して表舞台には出なかった。吉田に憲法改正と再軍備をたびたび進言し、激論の末、「いまだその時期ではない」とする吉田が癇癪(かんしゃく)を起こすことも再三だった。

 吉田と辰巳は、米国のように過度に軍事力に依存せず、なるべく非軍事的な手段の組み合わせで「国のかたち」を考えた。何とか警察予備隊(後の自衛隊)をつくり、内閣調査室を英国のMI6(秘密情報部)なみの情報機関に拡充すべく動いた。

 さて、昭和39年11月半ばのその日、吉田と辰巳は、昼からウイスキーを飲んでいた。大磯・吉田邸の書斎からは、晴れた日に相模湾を越えて富士山を眺めることができた。昼食後だったが、吉田は2時間以上にわたり懐かしい日々を振り返った。

 やがて、吉田は改まるようなしぐさをした。少なくとも辰巳にはそう見え「様子がいつもとは違うな」と感じていた。吉田は少し間をおいて切り出した。

 「君とは以前、再軍備問題や憲法改正についていろいろ議論したが、今となってみれば、国防問題について深く反省している。日本が今日のように国力が充実した独立国家となったからには、国際的に見ても国の面目上軍備を持つことは必要である」(『偕行』昭和58年2月号)

 辰巳は耳を疑った。首相時代にあれほど日本の再軍備を嫌った吉田が、その必要性を初めて口にした。吉田はたびたび憲法改正を促す辰巳の建言に、「いったん制定された以上、5年や10年でそうやすやすと改正されるものではない」と怒気を強めて否定したはずだ。

 その人物がいま、決して曲げることのなかった自らの「経済優先・軽武装」路線をものの見事に翻していた。=敬称略

 (特別記者 湯浅博)

【プロフィル】辰巳栄一

 元陸軍中将。明治28(1895)年佐賀市生まれ。佐賀中(旧制)を経て大正4年陸軍士官学校卒(27期)、14年陸大卒。昭和3年臨時第3師団参謀、駐英大使館付武官補佐官、同武官など3度の英国駐在。東部軍参謀長、第3師団長として中国大陸で終戦。50年から偕行社会長。63(1988)年93歳で死去。弟、繁は海軍主計大佐。

                   ◇

 あす14日から毎週日曜日のオピニオン面に掲載します。

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 ■世界標準へ静かに「改造」

 「この4年間、子供たちのためにつぶれるわけにはいかない、つぶすわけにはいかないと頑張ってきた。ウチはたまたま生き残ったが、廃業した団体もある」

 子供や親がPTA活動などでけがをした際、数百円の掛け金で見舞金を受けられる「PTA共済」。運営団体の一つ「栃木県PTA教育振興会」代表理事でビルメンテナンス会社社長、鈴木秀明さん(57)はこう言って肩を落とした。

 PTA共済は、PTAの関係団体が特定の会員のため、非営利で運営する保障事業。不特定多数が対象の営利事業である生命保険や損害保険とは性質が異なる。ところが平成18年施行の改正保険業法で、PTA共済など法律に基づかない共済は禁じられた。一般の保険会社のような会社組織になるか、ごく少額の保障に限るか、廃業するかなどの選択を迫られ、存亡の危機に立たされている。

 文部科学省によれば、PTA共済は法改正前、都道府県などごとに全国に77団体あり、750万人が加入していた。昨年10月時点で4団体が廃業し、20団体が新規取り扱いをやめた。

 《9歳女児がPTA行事で焼きいもをするため校庭で落ち葉を集めていたところ、友達が振り回したほうきの柄が右目に当たり角膜上皮剥離(はくり)のけがを負った》

 《12歳男児がPTAの奉仕作業のため校庭の植え込みで草取り中、突然ハチに首の下を数カ所刺された》

 団体によっては、こうした不慮の事故へ見舞金が支払えなくなるケースが実際に出てきている。

 ≪年次改革要望書≫

 「どうしてこのようなことになったのか。その答えの一つは米国の対日『年次改革要望書』の中にある」

 社団法人「企業福祉・共済総合研究所」の井上義英・共済機構研究部長(58)は指摘する。

 年次改革要望書とは、日米両政府が経済成長を促進するためとして、相手国の規制や制度の改善を要望するもので、平成6年から毎年交換されてきた。

 米国側の要望書は在日米国大使館のホームページで公開されており、保険業法が国会で改正される2年前、2003(平成15)年の要望書にはこうあった。

 《米国は日本に対し、共済と民間競合会社間の公正な競争確保のため、すべての共済事業者に民間と同一の法律、税金…規制監視を適用することを提言する》

 井上部長は「米国から共済を規制せよと要求され、結果的に『保険』として扱われることになった。あくまで要望の形を取っているが、現実にその通り実現していることは多々ある」。

 大量の非正規雇用を生み出した労働者派遣法の改正。地方商店街のシャッター通り化を加速した大店法廃止。そして郵政民営化…。いずれも米国が要望書で取り上げ、その後わが国で法改正などが行われた。

 井上部長は「かつての日米貿易摩擦では、外圧は自動車や牛肉・オレンジといった目に見えるものが対象だった。要望書では日本の社会制度が静かに深く『改造』されていった。米国流のグローバルスタンダード(世界標準)に変えられていった」。

 井上部長にとって忘れられない「米国流体験」がある。27年勤めた大手生保が平成12年に経営破綻(はたん)し、米国の世界最大手の保険会社に買収された。同社の当時の会長兼CEO(最高経営責任者)が羽田空港へ自家用ジェット機で降り立ち、本社へ来て開口一番「倉庫へ連れて行ってくれ」と命じた。

 会長は、会社が所蔵していた美術品の数々を大正時代に購入したときの簿価で取得し、自家用機に積んで米国へ運び去ったという。

 ≪消える互助の精神≫

 年次改革要望書の存在を最初に世に出したノンフィクション作家、関岡英之さん(48)は「PTA共済などの共済は、わが国古来の頼母子講(たのもしこう)や無尽、結(ゆ)いといった互助の精神の系譜に連なるものだ。保険というビジネスとは相いれない」とし、こう続けた。

 「20年後、会社や郵便局、診療所、公立学校など国民を一つに結び合わせてきたネットワークや地域社会、共同体が次々に崩壊している恐れがある。わが国のよき精神が消えている恐れがある。それは日本の解体そのものではないか」

 一方、評論家の屋山太郎さん(77)は「むろん世界標準がすべて正しいわけではないし、違いがあるのは当然だ。だが経済、貿易のルールは同じにしておかなければ不公正になる」とし、こう述べた。

 「ルールを同じにしたからといって、破壊されるのは既得権であって精神ではない。わが国のよき精神を変えないためにも、世界標準に合わせるべきところは合わせなければならない」

 保険業法改正で存廃の瀬戸際に追い込まれた栃木県PTA教育振興会は、任意団体のままでは存続できないため法人化し、一般社団法人として続いている。国会議員も与野党を問わずようやく動きだし、PTA共済を法的に位置づける法案が国会に上程された。

 20年後の日本社会について尋ねると、4児の父親である鈴木さんは少し考えてからこう答えた。

 「グローバルスタンダードの流れの中で、共済だけでなくさまざまな面で日本は変化している。われわれ大人はどんなことであれ、子供たちにしわ寄せがいく社会にしてはいけないと思う。子供たちが生きづらい世の中にしてはならないと思う」

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首相「国民欺かない」 参院予算審議スタート(産経新聞)

 参院予算委員会は3日午前、鳩山由紀夫首相と全閣僚が出席し平成22年度予算案に関する基本的質疑をスタートさせた。首相は今後の政権運営について「国民を欺くような政治を決してやってはならない。国民の暮らしが第一だと考えながら歩みたい」と述べた。

 4月以降に行う公益法人や独立行政法人を対象とした事業仕分けについては、枝野幸男行政刷新担当相が「現在のような独立行政法人が必要か検討する必要がある。その結果を踏まえ、制度改革を要するので早ければ23年度予算に影響を与えることができる」と述べ、23年度予算に反映させる考えを示した。

 自民党の林芳正政調会長代理への答弁。林氏に続き、自民党の西田昌司氏が首相と小沢一郎民主党幹事長らの「政治とカネ」をめぐる問題を追及。午後は改革クラブの大江康弘、民主党の平野達男両氏らが質問する。

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